――さっそくですが、まずは本作の第一印象をお聞かせください。

涼本 “小説”と言うと固く聞こえてしまう部分もあると思うんですが、読んでみると喋り言葉で書かれているところや、いろいろなパロディだとかネットミームみたいな表現がちりばめられているところなど、読みやすくてとても楽しい作品だと思いました。私自身、小学生くらいからアニメや関連した文化に触れてきたんですけど、そういう人だからこそわかる表現がたくさんあります。

もちろん、渉と愛華のくっつきそうになったり離れたりという距離感を見守る部分が魅力で、どうにか二人に幸せになってほしいなと思って読んでいました。

宮瀬 小説をじっくり読むのが結構苦手なんですけど、気付いたら一冊読み終わっている、みたいなテンポの良さがすごいおもしろくて。渉が心の中でノリツッコミをしている、かと思いきや、現実の発言は的を射たしっかりしたアドバイスになっているとか、コメディではありつつ、キャラクター一人ずつの心情が繊細に描かれているとか、いろんな面でメリハリがある作品だと思いました。

それと、「もどかしい」は読んだら絶対に出てくる言葉なので、ぜひ体験してもらいたいです。

――それぞれご自身が演じたキャラクターについてはどう感じられましたか？

宮瀬 渉は普段は周囲を客観視しているけど、自分のことには結構盲目で、というキャラクターですが、自分に結構似ているなと思って読んでいました。心の中でいろんなことにツッコミ入れているところとかも含めて。

――実は結構つっこんでるんですね？

宮瀬 僕の場合はそれが心の中だけじゃなくて、口から出ちゃったりもするんですけど（笑）まあ、そういう思考回路も似ていたりして。だから読み終わる頃には、結構すんなり渉とシンクロできたと思っています。

――アフレコを通して、お二人ともとてもすんなり役に入られていたのが印象的でした。宮瀬さんはスタジオでいろんな人にイジられてるのも渉っぽさがあって。

宮瀬 シンクロさせていただきました！

涼本 すごい……堂々と（笑）

――涼本さんにとっての愛華はいかがでしたか？

涼本 やっぱり第一印象は“女神”だなって思いました。かわいいし、運動もできて、頭もよくて、家族思いで、本当に素敵な女の子だなって思いつつ、読み進めていくとちゃんと天然だなと思う部分もあって。アニメでは今後の展開になりますが、結構人の話を聞いていない（笑）

普段は真面目過ぎるくらい真面目なのに、いざという時に「そっち行っちゃうの!?」みたいな大胆な行動をしたり、渉に大胆なことを言っちゃったり。そういうところも、愛華だからかわいいなって思えます。渉と関わることによって、新しい自分じゃない自分に出会ってどぎまぎしている姿がめちゃくちゃかわいいなと。第一印象もかわいい子ですけど、知れば知る程、よりかわいらしさが見えてくる素敵な子です。

――愛華とご自身で似ていると感じた部分はありますか？

宮瀬 天然なところ？

涼本 いやいやいやいや！　私は全然天然じゃないので！

宮瀬 天然じゃないっていう人は天ね……

涼本 私、人の話聞いてるし！　えーと、素直……素直？　いやツンでもデレでもないし！暴走もしない！　あんまり似ているところはないと思います！（断言）

ただ、妹を溺愛しているところは唯一の共通点で、愛華と愛莉ちゃん（愛華の妹）の歳の離れ感が自分と一緒くらいなので、懐かしいなって思いながら読んでいました。

――アニメのアフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか？

宮瀬 チーム「夢見る男子」の雰囲気を一言で表すと、「みんな仲良し」！

涼本 「和気あいあい」！

宮瀬 僕は全編通して現場にいて様子を見られたんですが、みんな誰とでも会話して、盛り上がっていて、明るいチームでした。

――そんな中、男子一人という瞬間も多かった宮瀬さんですが。

宮瀬 ラブコメならではの花園でしたね。浮かれていたら、制作サイドの指示の声で現実に戻るという。「やべぇ、漢字の読み方違った！」みたいな（笑）

涼本 あったね～。

宮瀬 花守さん（花守ゆみりさん／芦田圭役）が正しい読み方教えてくれて。

涼本 そうそう！「○○じゃないかな？」って優しく。

――ちなみに、（宮瀬さんは不在の）次回予告の収録では涼本さんも漢字の読み間違えがあったような？

宮瀬 それ聞きました！　これで五分五分ということで。

涼本 えー！　まぁ、やらかしたのは本当なので……。アニメの企画で漢検チャレンジとかあったらどうしよう。

宮瀬 ありそう！（恐）

――涼本さんが、愛華の髪型でアフレコに来てくださったのが印象的でした。

宮瀬 12話通してずっとだったよね。

涼本 そうなんです。なので、もしインタビューで「アフレコで成長したことは？」って聞かれたら、髪の編み込みのうまさって答えようと（笑）　1話の時は20分くらいかかってたのが、最終話あたりはスマホ見ながらすぐできるようになってました。

宮瀬 すごい！　心身ともにアフレコの日は愛華って感じだ。

――先ほど花守さんのお話も少し出ましたが、渉＆愛華にとってそれぞれ重要な存在である芦田圭というキャラクターについてお伺いできればと思います。

宮瀬 渉からしたら、男友達のように付き合える貴重な存在ですね。圭がいなかったら、現実を見た渉と愛華の関係は終わっていたと思いますし。いろんな場面で圭が「なんかおかしくない？」って言ってくれたから、二人は気付くことができる。

涼本 圭がいないと成り立たないってくらい、重要な存在だよね。愛華にとって親友であるのはもちろんなんですが、お話が進むとその重要さがさらにわかってくると思います。私も圭が友達にほしい！

宮瀬 アニメを全話見たあとに、圭が渉と愛華にどんな影響とか気づきとかを与えているか、振り返るのも面白いと思います。あと、明るい圭がめちゃめちゃ弱ったところが見てみたい。

涼本 いきなり癖（へき）の話！　ひどすぎる！（笑）

――本作では高校生の夏休みが描かれます。お二人の夏休みで印象的なエピソードはありますか？

宮瀬 僕は宿題を最終日に全て残すタイプで……それしか記憶にないです。基本的にインドア派で暑いの苦手なので、だらだら家にいちゃうという。だから、あんまり思い出もないっていうか……。

――悲しい……。でも、陸上部でしたよね？

宮瀬 運動している時は、心も運動寄りになっていたので暑さも気にならなかったですね。結構エースだったので自分がサボるわけにもいかなくて。ハードルで県大会に出ました！

涼本 すごい！　あと、家でだらだらってところが渉っぽい。

――涼本さんはいかがですか？

涼本 私はお父さんがストイックな人で。小学生の自由研究って本とか読んで、いろんな寄せ集めた情報を模造紙にまとめるので充分じゃないですか。うちはお父さんが「人がこれまで見つけられなかったことを見つけるのが研究なんだ」って言っていて、自分で研究テーマを考えてはお父さんに提出して、跳ね返されてを繰り返してました。

ほかの課題は8月に入る前に終わらせちゃうタイプだったんですけど、自由研究だけは延々お父さんのOKが出ない夏休みって感じでした。工作を選べばよかった～（涙）と思いながら。

――最終的にどんなテーマの自由研究になったんでしょうか。

涼本 絵具を100色くらい集めて、それを縦列と横列に配置して、それぞれ混ぜて1000色の見え方の違いを研究するという。

宮瀬 手間！（笑）　思いつきもしなかった……。

涼本 全然何にも受賞とかしなくて、3年生からは工作を選ぶようにしました。

宮瀬 え、それ2年生の時にやってたの!?　聡明！

――宿題の進め方でも対照的なお二人ということですね。

――それでは、最後にファイアCROSS読者の皆さまへ一言お願いいたします。

涼本 『夢見る男子は現実主義者』の小説を読んだことがある方には、アニメでしか観られない渉や愛華たちがそれぞれ日常の中で動いているところをぜひ楽しんでいただきたいです。あの時の愛華ってこんな顔してたんだ、っていういろんな驚きがあると思います。

この作品をこれから知っていくよって方は、小説とアニメで二度おいしいと思うので、小説のちょっとコメディに寄ったおもしろさと、アニメの絵ならではの心情描写と、どちらもぜひ楽しんでほしいです。

宮瀬 恋愛成分とか、もどかしさが欲しい時は『夢見る男子は現実主義者』で確実に摂取できます！　皆さんの反応もとても楽しみなので、たくさん感想お待ちしています。